〇農場HACCP
1 認証取得までの経緯
(1)事前準備
①平成24年5月、当大学校には附属農場が2つあり、学生が週毎に交代すること及び職員の異動などから安定した
生産体制を継続するための管理マニュアルの作成を検討していたところ、岡山県畜産会から農場HACCP認証取得
の働きかけがあり、取組を開始しました。
②6月に外部有識者による支援チームを設置(県畜産課、畜産協会、NPO法人日本食品安全機構、真庭家畜保健衛生所、
蒜山酪農協、おかやま酪農協)しました。
③7月から11月にかけて3回推進会議を開催し、システム構築に向けた研修を実施しました。
(2)農場HACCP認証取得キックオフ
①平成24年11月9日、多くのご来賓を招いてキックオフを行いました。
・ご来賓:農林水産省動物衛生課、中国四国農政局、中央畜産会、岡山県畜産課及び県関係機関
おかやま酪農協、蒜山酪農協、NPO法人日本食品安全検証機構
②キックオフ宣言
・酪農大学校は、消費者の求める安全で高品質な生乳を継続して生産するため、農場HACCPを取り入れるとともに、
教育目標にも掲げ、実践、指導できる酪農担い手の人材育成を通じ中四国はもとより、全国への普及に貢献します。
③衛生管理方針
・「安全で高品質な生乳は健康な牛から生産される」ことを念頭に、HACCP手法に基づいた衛生管理システムを構築し、
牛の健康と生産物の安全性を確保します。
・安全で高品質な生乳を出荷し、消費者に安心して飲用して頂くとともに、安全で高品質な生乳生産を実践する酪農
担い手を育成することで社会に貢献します。
・安全で高品質な生乳を生産するため、常に食品の安全と品質向上に関する知識の向上に努めます。
・家畜飼養衛生管理及び食品衛生に関する法令、条例、規制を遵守いたします。
・職員全員が、衛生管理方針を周知し、徹底するために、毎年目標を設定し、実施し、見直し、改善を行います。
④講演
・「農場HACCPの取り組み」
農林水産省動物衛生課 課長補佐 山野淳一 氏
・「HACCP認証を柱にした農場の実証等」
NPO法人日本食品安全検証機構 理事長 茶薗 明 氏
・「農場HACCPの普及に向けた最近の動き」
公益社団法人中央畜産会 部長 守永美夫 氏
キックオフ宣言 ご来賓の皆様 農場HACCPチーム任命書の交付
(3)キックオフから認証申請まで
①農場HACCP推進会議の開催
おおむね月1回のペースで推進会議を開催し、生乳生産等に係る危害要因の洗い出し、分析作業、法令集の整備、
記録項目の検討等を実施するなど、HACCPシステムの構築に努めました。
②農場HASSP推進農場の指定
平成26年3月28日付けで、公益社団法人中央畜産会から推進農場の指定を受けました。
③当初は附属の2牧場を対象として並行して作業を進めていましたが、作業に多くの時間を要することから、第二牧場を
優先してシステム構築を実施することとし、集中して進めました。
(4)認証審査の受審
平成28年11月22日に、公益社団法人中央畜産会の審査員による認証審査を受審しました。
審査は、経営者インタビューから始まり、文書と記録の審査、飼育部門の審査(農場巡回、農場作業者へのインタビュー)
を経て、最終会議となりました。この中で軽微な不適合1件の指摘があり、是正した結果を後日報告しました。
(5)認証の取得
平成29年1月16日に、公益財団法人中国四国酪農大学校附属農場(第2牧場)において認証を取得しました。
第二牧場全景
2 取組の目的
(1)当大学校は、実践教育を通じて酪農後継者や牧場従業員の即戦力を養成する学校であり、日ごろから生乳生産に深く
関わっていること及び消費者の食の安全に対するニーズが高まっていることから、将来にわたって安全で高品質な生乳
生産を実践する酪農担い手を育成することで社会に貢献する。
①「良質な生乳生産は健康な乳牛から生産される」ことを念頭に健康な牛作りから生産物まで一貫した安全管理システム
を確立し、運用することで良質生乳生産の実際を学生に教示する。
②消費者を常に意識しながら、食品を扱っていることの認識を深めるとともに、畜産物生産を取り巻く法令、規則の順守に
ついて、学生に教示する。
(2)社会人等を対象としたフィールド研修における実践研修を通じて農場HACCPを全国に普及したい。
3 農場HACCP認証取得後に期待すること
(1)PDCAサイクルの実践による実習農場と職員のレベルアップが図られる。
(2)農場HACCPを実践的に研修した学生等が農場HACCPの伝道師として酪農業界で活躍する。
(3)職員の異動があっても実習農場のレベルが維持され、一定水準の教育環境を保つことができる。
4 認証内容
(1)工程と危害要因分析
①日常作業:256工程
②定期・不定期作業:165工程
(2)記録の管理
43項目